【今日のおすすめの1冊 】本を開くと文明開化の音がする。今日は、イギリスの歴史について。

赤羽彩人投稿者:
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この記事の内容

本を読もう。(目的)

子曰、学如不及、猶恐失之。(論語)

 この言葉は、論語の中にある孔子の言葉と思われる名言で、

子曰わく、学は及ばざるが如くするも、猶之を失わんことを恐る。

(孔子は言う、学びは終わりがないということに従い探求を続けるものだが、それでもやはり学ぶ目的や意欲を失ってしまうことを不安に思うものだ。)

孔子は論語の中で様々な名言を残していますが、この言葉はとても突き刺さりますね。やはり、様々な本や書物に触れ合い、そのコミュニケーションの中で、私は何のために学習しているのだろうかということを常に心の中に明確に持ち続けることが求められるということでしょう。

 さて、今日は初の企画となりますが、私が直近読んだ本の紹介をしたいと思います。

とはいえ、著作権や著者様が得るべき利益を損なうことがないよう(つまり皆様にお買い求めいただけるよう)ネタバレは極力省いた紹介にしようと思います。 (※一部ネタバレを入れたほうが読みたくなるものは入れるかもしれませんが)

 

今日の本 君塚直隆著『物語 イギリスの歴史(上) 古代ブリテン島からエリザベス1世まで』(中公新書)

なぜこの本を読むべきなのか(理由)



ここでは、すぐにでもこの本のおもしろさを知りたいという人や、すぐにでも情報を知りたいという方のために情報をまとめておこうと思います。

 この本の一番いいところは、流れるような歴史記述であるということだと思います。歴史の専門書とか分厚い本を読むと、細かい出来事が忠実に書かれています。多くの非歴史マニアはそこで挫折してしまいます。

 もちろん歴史を正確に記述するのが彼らの仕事ではあるので、それを責めるのはお門違いなのですが、軽くよむには消化できない代物です。一方、本書ははじめてイギリスの歴史を知る方にも読みやすいものとなっています。これは物語調になっているためです。(ただし物語調ということはある程度筆者の主観や解釈が入り込むことがあるので、それが絶対的に正しい歴史ということではありません。)

 

 

 第2にこの本を読むことでイギリスをはじめとしたさまざまなヨーロッパの時代背景や宗教とのあり方、価値観のベースとなっているものを学ぶことができます。今や近代化や個人主義化で若者の宗教へのかかわりが浅くなったり、価値観の多様化でLGBTや女性の社会進出が進んだりしていますが、それでもなお中世のしきたりや慣習、様式は生きています。例えば、昨年エリザベス女王が崩御し、チャールズ3世が即位しました。その際ウェストミンスター大聖堂がメディアで盛んに報道されましたが、まさしくその建物は中世からそびえたつ神聖な建物であり、イギリス王室の存在そのものであると言われています。また、イギリスの歴史は、筆者によれば「王権と議会」に特徴があるといわれています。「大憲章(マグナ=カルタ)」は今や世界の議会のあり方を定める最初の法であり、憲法の母ともいえる存在です。今、日本の国会ではNHK党のガーシー議員が出場するなど議会のあり方がよくも悪くもかわりつつありますが、そもそも議会ってどうしてあるのかを考えるいいきっかけになるかもしれません。

 第3に、先ほど述べた通り、イギリスの歴史の大きな特徴は「王権と議会」とのことなのですが、その王様がまあ人間らしくて「欲望」の塊だったりめっちゃ無能だったり、女好きすぎたりとするわけです。なんだか、今の時代も王室は「ヘンリー王子とメーガン妃」の王室離脱騒動でもめていますが、昔から表では神聖な存在として振る舞いつつも、裏では大変人間らしくいろんなことをやってるなというのを思い知らされました。前から思っていたことですが「『離婚』したいからカトリック止めまーす(カトリックは今も昔も離婚は原則不可)、そして新しい宗教作りまーす。」ってどんなノリですか??っていうんですよ。昔はイギリスもカトリック国でローマ教皇の影響下だったわけですけど、ヘンリ8世の時代に後継ぎを産めない奥さんを捨て、子を産ませるために再婚したいというわけです。まあ、もちろんこの時代イギリスのカトリックは腐敗甚だしく、料理人の女性との間に子供ができてしまう絶倫神父やミサをせず金儲けばかりの神父などとんでもない状況が背景にあったそうですが…。

ヘンリ8世の肖像画といわれる絵画↑

【思ったこと】地域・国ごとの歴史を勉強がおもしろい

今回紹介する本は中公新書の君塚直隆さんの著作、歴史系の新書であります、『物語 イギリスの歴史(上) 古代ブリテン島からエリザベス1世まで』 です。

 

私は、高校時代、世界史選択者で日本の歴史もそれなりに中学で勉強しましたが、それよりも世界の歴史に興味を持ってきました。

話はそれますが、高校の地理歴史のカリキュラムが数年以内に改訂されて、日本史と世界史が合体した歴史総合なる科目(世界史Aと日本史Aの合体?)ができるとか、それを勉強したうえで日本史探求(現在の日本史Bに相当?)と世界史探求(世界史Bに相当?)という科目もできるとか、など歴史教育に関しても大幅な変更が行われます。政治の側では「日本人が、日本の歴史を学ばないのはけしからん」という声があるのが理由なんて都市伝説?も聞こえてきますが、わかる気もする一方、それってどうなのって思う一方ですが。

 

そんなことはどうでもいいですね。本の紹介に入りましょう。私の世代の世界史の授業は日本史はすごい深く勉強するのに対して、

 

類人猿、ネアンデルタール人、ホモ=サピエンス(新人)の登場など人類の登場から、エジプト・メソポタミア・古代オリエント世界から、ヨーロッパ人の心の支えの古代ローマ・ギリシア時代、中国の殷・周・秦・漢・三国時代・・・とブッタとヨーガの古代インド、ムハンマドのイスラーム教の登場とアラブ帝国・イスラーム帝国、カール大帝と十字軍とローマ=カトリック万歳中世ヨーロッパ、

モンゴル帝国が世界制覇したと思ったら、そこからルネサンスで近代化でヨーロッパが世界

を征服みたいな流れ(めっちゃ簡単に世界史を解説してみた)なわけです。

ともかく、範囲が広くてこれを2年間だったかな(学校によっては最後まで扱ってくれないところも多いと聞きますけどこれでいいのか日本の教育?)、でやらなければならないそうすると、地球全体のまとまった大陸レベルの地域ごとのおおまか歴史は頭に入るのですが、実際のところ、各国今回でいえば、イギリス・フランス・イタリア・ギリシアみたいな各国の歴史は要所要所でしか出てこないので、各国史ごとの縦のつながりがあまり頭に入らないものなのです。

そういうわけで、最近の私は各国史や地域史の新書や本をやたら読んでいる気がします。

 確かに、全体的な歴史を学ぶ方が役に立つことが多いんですが、歴史っていうのはおおくの人々の日常の積み重ねの上に構成されているものでありまして、各国の歴史を追うことで、なんだかもちろん一部の人間(王様・諸侯・教皇・騎士)の逸話やおもしろ話、バカみたいな話が深堀できて面白いんですよね、生きた歴史といいましょうか。

 そういうわけで今後も、そういう細かい歴史を扱う本も紹介していこうと思います。

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